米国は暗号通貨とブロックチェーン分野で中国に後れを取るのか？
米国のブロックチェーンのロビー団体であるデジタル商工会議所（Chamber of Digital Commerce）は5月19日、米国議会に暗号通貨規制の整備を求め、これを怠ると急成長する暗号通貨分野で他国に後れを取ると警告した。
デジタル商工会議所は米国を拠点としたブロックチェーンと仮想通貨の普及を促進する国際的な組織である。ブロックチェーンや暗号資産をベースとした技術の導入と利用の促進を使命とし、教育・アドボカシー・政策立案者・規制機関・業界と協力し、イノベーション、雇用創出、投資を促進する法規制環境の確立に取り組んでいる。また、ゴールドマン・サックス、シティ・グループ、サークル、フィデリティといった大手金融機関の支援を受けている。
デジタル商工会議所は米国でのデジタル資産とブロックチェーンの戦略的アプローチを策定する「デジタル資産およびブロックチェーン技術ソラリウム委員会」の設立を議会に呼びかけた。そして、中国のような国による搾取を防ぎ、また他国の暗号通貨やブロックチェーン分野の発展が米国のリーダーシップと米ドルの優位性を脅かす可能性があるため、適切な規制が必要であると強調した。例えば、中国では最近、国家区塊鏈技術創新中心（国家ブロックチェーン技術革新センター）が始動、50万人のブロックチェーン専門家を育成する計画である。
デジタル商工会議所は報告書で、ブロックチェーン分野における中国の先進性、ブロックチェーンベースサービスネットワーク（BSN）への取り組みを強調した。報告書によると、BSNは世界的な開発と貿易を取り込むことを目的とし、米国のイニシアティブの欠如によって生じた空白を埋める可能性があるという。
また、報告書では、サウジアラビア、ロシア、フランス、ブラジル、インドを含むいくつかの国が米ドルではなく人民元で直接中国と貿易を行うことを検討または選択していると指摘した。さらに、BRICSデジタル通貨の可能性、ロシアやイランの金を裏付けとするデジタル通貨など、代替デジタル通貨の台頭にも言及した。
現在、米国の暗号通貨分野の規制は不透明で、米国から撤退または撤退を検討している暗号通貨企業が増えている。例えば、かつて米国最大の暗号通貨取引所であったビットトレックス（Bittrex）は米国での事業が実現不可能と判断し、破産申請し、米国から撤退した（国外顧客向けのビットレックス・グローバルは業務を継続している）。また、米暗号通貨取引所コインベース（Coinbase）CEOブライアン・アームストロング（Brian Armstrong）氏は「規制の不確実性を理由に米国を離れることを検討している」と述べた。
この状況を打破するため、規制の元凶である米証券取引委員会（U.S. Securities and Exchange Commission：SEC）委員長ゲイリー・ゲンスラー（Gary Gensler）氏を解任しようという動きも出ている。米下院議員ウォーレン・デイビッドソン（Warren Davidson）氏は4月16日、「長きに渡る一連の権力乱用を正すため、SEC委員長を解任し、取締役会に報告する事務局長と交代させる法案を提出する。SECの元委員長は不適格である」とツイートした。
今後、米国が暗号通貨やブロックチェーン分野で他国に後るかどうかは、ゲンスラー氏の進退によって決まるのかもしれない。
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