バイデン大統領がFRBの新副議長を任命!インフレに歯止めをかけられるか?

ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領はインフレとの戦いで次の手を打つため5月12日、連邦準備制度理事会(Federal Reserve board:FRB)のフィリップ・ジェファーソン(Philip Jefferson)理事をラエル・ブレイナード(Lael Brainard )氏の後任として副議長に抜擢した。この人事はインフレの抑制が上手く進んでいないFRB議長ジェローム・パウエル(Jerome Powell)氏への圧力が高まる中で行われた。

 

ジェファーソン氏は昨年5月理事に就任したばかりである。これまでの同氏 のFRBでの活動や過去の業績から見て、彼は中道派の政策立案者と言える。今回の抜擢はFRBの方針を大きく変えるものではないと予想されているものの、バイデン大統領は、「ジェファーソン氏は物価の安定を維持し、国内の金融機関を監督する上で重要な役割を果たすだろう」と期待している。

 

1週間前の5月3日、FRBフェデラルファンド金利を0.25ポイント引き上げ、5.25%にとなった。パウエルFRB議長は、「インフレは依然として大きな懸念事項であり、FOMCはインフレ率を目標の2%まで引き下げることにコミットしている」と強調した。しかし、5月10日に発表された最新の消費者物価指数(CPI)の総合指数は4.9%上昇した。

 

CPIは市場予想の5.0%を下回ったものの、景気後退への懸念が強まり、株式市場は軒並み売られ、S&P500、ダウ平均、ナスダック総合、ラッセル2000指数のすべてが下がった。また、リスク資産である暗号通貨も下落傾向にあり、金や銀などの貴金属は横ばいとなった。

 

フォーブス( Forbes )ジャーナリストのサイモン・ムーア(Simon Moore)氏は、「3月のデータによると、ほとんどの政策立案者は金利を現在の水準に維持することを支持しているため、年内は金利が現在の水準にとどまるだろう」と予測している。

 

また、米議会予算局(Congressional Budget Office:CBO)は、「議会が債務上限の引き上げを決めなければ、6月第1週から第2週のいずれかの時点で、政府が全ての債務を支払うことができなくなる重大なリスクがある」と指摘した。 CBO の指摘は、米財務省の6月1日にもデフォルトの恐れがあるという予測と一致している。この他、国際通貨基金(The International Monetary FundIMF)は「多くの人が米国の債務不履行の影響について警鐘を鳴らしており、実際に起きた場合、非常に深刻な事態となるだろう」と述べた。

 

JPモルガン・チェースJPMorgan Chase & Co)CEOジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)氏をはじめ、複数の関係者がシリコンバレー銀行の破綻から始まった米国の銀行危機はまだ終わっていないと警告している。ダイモン氏は4月に、「危機はまだ終わっていない。危機が終わった後も影響は何年も続く」と指摘した。経済学者ピーター・シフ(Peter Schiff)氏も、「銀行危機は決して終わっていない、これはもっとひどい金融危機の始まりに 過ぎない」と警告した。

 

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