暗号資産（仮想通貨）市場の現状

 1.暗号資産の市場規模 

2021年5月、暗号通貨の総市場価値は2.4兆米ドルのピークに達し、その後下落し始めた。2019年の暗号通貨の総市場価値はわずか9,000億米ドルだけである。2018年の市場バブルの時期でも、総市場価値は7,200億米ドルにしか達しなかった。 

現在、総価値が10億米ドルを超える暗号通貨は77個であり、100万米ドル以上の暗号通貨は1,600個がある。 

2.ビットコインは取引高が減少している 

2009年の上場以来、ビットコインは、暗号通貨市場で絶対的な市場シェアを占めてきた。しかし、現在、他の暗号通貨の取引高は急激に上昇いる一方で、ビットコインの市場シェアは2015年の86％から2021年の47％に減少した。

さらに、「草コイン」と呼ばれる知名度も価値もほとんどない仮想通貨の登場によっては、暗号資産市場全体がますます複雑になってきている。

3.どの国/地域が最も暗号通貨を使用しているか？ 

ナイジェリアは国内の若者が多い。積極的に投資方法を模索している人が多く、比較的近年登場した仮想通貨業界であっても、ユーザー数や取引量が継続的に増加している。

先進国ではなく、ナイジェリアやベトナム、フィリピンなど第三世界の国々で仮想通貨市場は盛り上がりを見せているようだ。

中国やアメリカは、わずか10％も達していない。

4. Coinbaseが上場、将来性は不透明か

2021年4月14日、暗号通貨取引所最大手のCoinbaseは、米国に上場された最初の暗号通貨会社になった。多くの人々は、これが暗号業界全体にとって、「マイルストーン」であると考えている。 

しかし、上場以来、Coinbaseの株価はビットコインとともに下落し始めた。

Coinbaseは株主に、Coinbaseの収益は暗号通貨市場の価格変動に左右されることはないということを証明する必要があるのかもしれない。

5.機関投資家の暗号通貨に対する認識が向上した 

機関投資家は、まだ暗号通貨が実用的であるかどうか疑問視しているが、ますます多くの機関投資家は暗号資産を投資ポートフォリオに組み入れるようになってきている。 

フィデリティ（Fidelity Investments）が発表した機関投資家の暗号資産調査の結果によると、調査対象の米国およびヨーロッパの投資家の78％が、暗号資産は魅力的な投資と考えており、2020年と比較して約6％増加した。

現段階で、投資家にとって暗号通貨の3つの魅力的な要素は以下のとおりである。

1）暗号通貨と他の資産との相関性が低い 暗号通貨を組み入れることによって、投資ポートフォリオを多様化できる 

2）暗号通貨は革新的なテクノロジーである 

3）暗号通貨は成長の見込みが高い

6.ビットコインと環境問題

暗号通貨、特にビットコインは、マイニングで大量のエネルギーを必要とするため、環境問題を懸念する多くの人々から批判されている（環境に配慮し、数か月前にテスラはビットコイン決済サービスを停止するという決定をした）。

ビットコインをマイニングするとき、非常に複雑な問題を解決するためにコンピューターに依存する必要がある。マイニングをするには、大量の計算処理能力が必要であり、コンピューターが計算処理をするには、、大量のエネルギー（電力）が同時に必要となるのだ。 

（この後に、5月のイーロンマスクの件と、中国のマイニング取り締まりを追加して方がいいかもしれません。 

7.暗号資産を狙ったランサムウェア攻撃

近年、ランサムウェア攻撃がますます多くなってきている。サイバー犯罪者はコンピュータシステムを「人質」と見なし、暗号通貨の形で多額の身代金を要求する。さもなければ、攻撃されたシステムが回復できない。

今年の5月、コロニアル・パイプライン（Colonial Pipeline）はサイバー攻撃を受け、一時的に運用を停止し、最終的にハッカーに500万米ドル相当のビットコインを支払わなければならなかった（ただし、身代金のほとんどは後に法執行機関によって回収され）。

2020年、ランサムウェア攻撃による被害が急増し、被害額は2019年と比較して337％増加した。 2021年でも、状況はそれほど良くなっていないようである。

Chainalysisのデータによると、2021年8月までのランサムウェアの被害者はハッカーのアドレスに8100万ドル以上の暗号通貨を支払った。 

ビットコインネットワークのユーザーは急増しており、過去30日間で120万人の新規ユーザーが登録された。これには、ETHなどの他のトークンの利用者が含まれていない。ますます多くの投資家が仮想通貨市場に参入するにつれて、各国の政府がより厳しい規制を行うようになり、これも暗号通貨市場に影響を及ぶ。各国の政府が関連政策を課する前に、暗号通貨市場の見通しはまだ不明である。